未完の敗戦その7
2024-08-20


その6[LINK]より続く。

先日NHKで戦争特集やっていた。
見ていて苦しくなる内容だった。
日本軍兵士のリアルや未完の敗戦とも絡めて書いてみたい。

まずは特攻から。
知覧の特攻記念館に行ったことがある。
そこに隊員の遺書が多数展示されている。
勇ましい内容が多いが、当時は検閲があったので中身を鵜呑みにできない。
番組では隊員の募集と選別に触れていた。
志願という形だったが実際はプレッシャーがあったわけだ。
各学校に候補生のノルマがあったという恐ろしい事実。
自らの保身というのか、戦争に協力しなければという圧力に屈したのか。
ノルマ達成のため、校長が生徒に候補生に志願するよう説得したという。
これが当時の教育の実態。

特攻が一種の祭りのようになって、人々が熱狂したという恐ろしさ。
何度も書いているが、日本では空気で全てが決まる。
一度、空気が出来るとそれを作った本人ですら、それに逆らうことは不可能となる。

特攻するにあたって、兵士の希望調査が行われた。
熱望、望、否の三択。
出来レースであったとしても、そういうのを正々堂々やってしまう恐ろしさ。
否とは書けないので、望は事実上の否と同じ意味だ。
熱望と書いたが、実際には選ばれなかった例もあった。

指導側の先輩格の言い方が強烈だった。
”使い頃”という意味を問われると、成績は大したことないから死なせるのに適当だと。
先の熱望の件は、優秀であったため死なすのは惜しいと判断されたらしい。
役に立つと判断されると、死なせないがそうでない場合はせめて死ぬことで役に立て。
そういうことだ。

ここで個人的なことを書いておこう。
所属組織で人事異動が行われた。そこで俺がその対象となった。
何故俺が?と思ったが当然、反対できない。
後から人づてに聞いたが、俺は上からの受けが悪く、異動と言う形で放り出されたのだった。
これが特攻隊員の選抜なら、間違いなく選ばれていた。
あいつ気にいらんから、成績悪いことにして死なせる。
そういうことだ。

番組では米軍側映像資料から誰が行ったかを特定していた。
見事敵艦を撃沈したと当時はされたが、実際には失敗していた。
特攻を継続するため、意図的に戦果を捏造したのか、情報が不正確だったのかは不明だ。

当初は戦果確認のため、観測機がついていたが次第にそれもなくなったとか。
それでは効果あったのかどうかも確認不可能。
当初は攻撃の手段として始まったが、いつの間にか特攻することが目的になったらしい。
帰ってくれば次の攻撃に参加できるが、特攻では成功したかどうかは関係ない。
間違いなく死ぬだけだ。

特攻について報告を受けた天皇が、そこまでする必要があるのかと言ったらしい。
やめるよう言うのが筋と思うが、それはなかった。
つまりはそれを評価したといういうことで、軍部はこれからも続けて良いと考えた。
天皇に戦争責任はなかったことになっているが、責任は免れないと考える。

翌日にはサイパン攻防戦を巡る米軍側視点の番組で、特攻よりも強烈だった。
戦意高揚を目的として、戦闘中の通信や会話などを記録した物。
どの国もそういう意味では何らか変わらない。
結果的に米軍に都合の悪い内容だったので、なかったことにされたがそれが発見されたのだ。
日本軍なら即、廃棄されていたに違いない。
廃棄しない分だけ、隠蔽体質はマシということになる。

敵と誤認して日本の子供を殺してしまった米兵が良心の呵責から自殺したという。

部隊内で3割の死傷者が出ると、その部隊は機能しなくなるとされる。
つまりは全滅したのと同じだ。
そうならないようにするための選択肢は3つ。
援軍を呼ぶか、撤退するか、降伏するか。

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